FC2ブログ

Entries

ICRP勧告改訂の草案に対する意見-被ばくから住民を護る基準に!(共同パブコメ)にサンドリも団体賛同しました!

20190901ICRP改定案に対する共同パブコメ1.png
20190901ICRP改定案に対する共同パブコメ2−3.png
20190901ICRP改定案に対する共同パブコメ4−5.png

ICRP勧告改訂の草案に対する意見-被ばくから住民を護る基準に!
       住民を被ばくから護る基準を求める市民と科学者 

(連絡先:山田耕作 kosakuyamada@yahoo.co.jp)

パブリック・コメントを提出するに際して、2つの大きな疑問を述べておきたいと思い
ます。まず、第一に、パブリック・コメントを集める対象について、今回は、草案自体が
一部のみの翻訳であり、基本的に英語を理解するもののみを対象としているので、パブリ
ックと言いつつ、きわめて限定的で差別的に収集している点です。
第二に、今回も含めて草案にたずさわっている当事者は、ICRPの基準を日本に導入
することを検討する当事者もあるので、利益相反にあたるのではないか、という点です。
基準を作る側、基準を導入する側は本来立場が違うはずなのに、ICRPの基準について
は、それを取り入れるのが前提で進められているところがおかしいと思います。その一方
で、
IPPNWの勧告( https://peaceandhealthblog.com/2013/06/05/fukushima-
disaster/
https://peaceandhealthblog.com/2019/08/26/radiation-exposure/ )やアナン・ド・
グローバー氏の勧告
(https://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/RegularSession/Session23/A-
HRC-23-41-Add3_en.pdf)は、ICRPも日本政府も無視している状態です。基準を作る
側も取り入れる側も、本来多様な研究・提言の中で、よりよいものを選択する必要がある
はずなのに、予定調和がなされているのは、大変な問題だと思います。
(1)ICRP2007年勧告の問題
 現在日本政府がとっている住民帰還政策では年間20ミリシーベルトを基準にしています
が、それは国際放射線防護委員会(ICRP)が提唱するICRP2007年勧告での推奨値を参考に
決められました。
しかし、ICRP2007年勧告自体が、2011年3月の時点で、日本の法令になっていたわけで
はありません。年間20ミリシーベルトは福島第一原発事故のどさくさに紛れて取り入れら
ました。しかもICRP2007勧告はチェルノブイリの経験を踏まえ、出来るだけ避難者を少な
くすることで、政府と電力会社の賠償責任などの負担を少なくすることを狙ったものであ
るようにしか考えられません。
日本の法令に取り入れることを検討する文部科学省放射線審議会の基本部会は、2009年
3月13日(第19回)から2011年1月12日(第38回)まで、20回にわたって、ICRP2007年
勧告の国内法取り入れを検討しました。基本部会の委員としては、東京電力株式会社福島
第一原発の副所長(第25回基本部会より)や、東電環境エンジニアリング株式会社 原子
力事業部長(第19回基本部会から第24回基本部会まで)など、東京電力の関係者が常に入
っており、原子力発電を推進する側の影響下に基準が検討されていたといえます。利害関
係者が委員となっている時点で利益相反です。同部会は、2011年1月に出した第二次中間
報告において、「(3-d)緊急時における公衆被ばくに適用する参考レベルについて」
として次のように提言しています。
(基本部会の提言)
緊急時被ばく状況における公衆に対する参考レベルに関して、ICRPが提案する線
量(20~100mSv)は、緊急時における防護措置の実施の要否、防護の最適化、
および更なる防護措置の必要性を判断するための総合的な戦略に関する指標として妥当
であり、我が国においても防護活動計画の策定のためにこの指標を考慮すべきである。
また我が国でこれまでに提案された個々の防護措置(屋内退避及び避難、安定ヨウ素剤
予防服役用等)に関する基準は、個々の防護措置の実施の要否を判断するための初動値
として継続して適用可能である。
このように、文部科学省放射線審議会基本部会は、原発事故よりも前に公衆に対する参
考レベルについてのICRP2007年勧告導入について具体的に提言していました
。ICRP2007年勧告は日本の法令に反映されたわけではないのに、原発事故後、導
入されたのです。
しかし、この導入に対しては強い批判がありました。2011年4月29日、放射線審議会基
本部会のメンバーであった内閣官房参与の東京大学大学院教授は辞意表明をした際には、
学校施設の利用基準が年間20ミリシーベルトであることに対して、「この数値を乳児、幼
児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからして
も受け入れがたい」と述べました。それだけ、年間20ミリシーベルトという基準が不適切
であることを示しています。ICRP2007年勧告の導入自体が、そもそも法令違反なので
す。

(2)ICRPの歴史的問題
ICRPの公式のホームページではICRPを「放射線防護科学を公衆の利益を進める
独立した国際組織」としています。また「イングランドとウェールズの慈善団体委託に登
録された(登録番号1166304)慈善団体、とのことですが、果たして公衆の利益を
進めるチャリティー団体なのでしょうか。
歴史を振り返ると、ICRPの前身は1928年に発足したIXPRC(International X-
Ray and Radium Protection Committee:国際X線・ラジウム防護委員会)です。1950年
に初会合が開かれたICRPは、米国放射線防護委員会(NCRP)議長のL・S・テイラーが中心
となって組織されました。NCRPとは1946年に発足し、広島・長崎の原爆を開発したマンハ
ッタン計画で放射線人体影響の専門家として携わったスタッフォード・ウォレン(同計画
の医学部長)らが執行委員となっていました。またマンハッタン計画に従事した科学者た
ちが中心メンバーでした。さらにマンハッタン計画を引き継いで米国の核開発を担ったの
は米原子力委員会という連邦政府機関ですが、その生物医学部長を務めたシールズ・ウォ
レンが執行委員となりました。ICRP発足の経緯そのものからして、マンハッタン計画やそ
れを引き継ぐ米原子力委員会(AEC)の影響が大きい、米国の核戦略の強い影響力を受け
ていたといえます。
そうした組織の基準が、国際的だとして福島県内の子どもたちに適用されているのです
。しかも、公衆への基準が1990年勧告において年1ミリシーベルトとなり、この勧告につ
いては日本の法令に反映されていますが、その20倍もの基準が、しかも「緊急時」ではな
く永続的に、胎児・幼児・子どもにまで適用されたのです。
(3)ICRP勧告改訂の草案における問題
今回の草案は、ICRP2007勧告に少し手を入れたようですが、10ミリシーベルトと被ばく
を20ミリシーベルトから減少させたように見せながら、 図からは10ミリシーベルトは分
布の中央値であると理解され、それを越えてはならない被ばく限度としておらず、むしろ現
在以上の被ばくを容認する危険性を持つ提案です。被ばくによって何らの利益を得ること
がない公衆に被ばくを我慢させる案です。改正案の危険性はこの参考レベルが中央値であ
るような図2.3として出され、被ばく限度でないことです。
 また、草案の「201」に「甲状腺に対する特別の監視プログラムは可能な限り早く甲状
腺の深刻な異常を検出するのに有効である。しかしながら、そのような監視は住民の集団
レベルで便益が害を上回ることを確実にするように組織されるべきである(Togawa,
2018)。この点について、長期間の健康監視プログラムは胎児期や、小児期、あるいは青
年期において、甲状腺に100から500 mSvの吸収線量を受けた個人に限って取り組まれるべ
きである。」と述べられていますが、この記述は甲状腺調査の対象範囲を狭めるために今
回の改正草案に盛り込んだのでしょうか。行政側に都合の良い基準で調査の対象を狭める
ことを正当化する提案を作ろうとしているのではないでしょうか。私たちは甲状腺調査の
対象はむしろ広げ、また継続的包括的調査をするべきだと思います。
 今回の改訂は、事実上、「世界の住民全体」の基準になります。その改訂をICRPに
迫る衝動力は次の3点に有ります。
①今後世界的規模でチェルノブイリ・福島級事故が繰り返されることが想定されている。
②トランプアメリカ大統領等の「使える核兵器」による核戦争が想定されている。
③核兵器による攻撃が、原発あるいは核施設に対して行われる場合、両方の事態が組み合
わさって生じることが想定されている。
そのための緊急時の被ばく基準改訂であり、極めて危険なものであると言うことです。
いうまでもなく被ばくのない「使える核兵器」などないことは、広島・長崎の例が示して
います。しかし、ICRPの基準は核戦争・核被災を前提としている点で、被災者を切り
捨てることを合理化する基準だといえるのではないでしょうか。
ICRPの使用してきたALALA(As Low As Reasonably Achievable)の原則は、
社会的・経済的要因を考慮しながら「合理的に達成可能な限り低く」するという意味で使
用されていますが、そもそもどのような立場からの社会的・経済的要因か、そしてその合
理性が誰に向けられているのかが問題です。核産業を前提とした「社会的・経済的」が成
り立つ範囲での、放射線への感受性の強い人々の存在を排除した「合理性」です。つまり
は、とりわけ感受性の高い胎児・乳児・子どもたち生命・身体に影響がない程度に低くお
さえることを目的にしているわけではありません。ICRPは核産業が置かれた状況の変
化のもと、「アラーラ原則」から「正当化」「最適化」「参考レベル」、そして 「ステ
ークホルダー」および「共同専門性」と、一連の概念の創出によって、事故による放射能
汚染下での生活に被災者を慣れさせ、住民に放射能汚染下での生活を選択せざるを得ない
状況を作り出してきたのではないでしょうか。ステークホルダーといったとき、その利害
関係者とはICRPの想定する関係者であり、そこには被災から逃れている避難者が含ま
れてはいないようです。このような概念は核産業の、核産業による、核産業のための概念
であって、けっして一般公衆の、一般公衆による、一般公衆のための概念ではありません


日本国憲法前文には「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の
うちに生存する権利を有することを確認する[We recognize that all peoples
of the world have the right to live in peace, free from fear and want(日本国法
務省訳)http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail/?id=174 ]」と、平和
的生存権が謳われています。また世界人権宣言では、第3条、第6条、第8条、第13条1 
にて次のように謳われています。
第三条 すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。
第六条 すべて人は、いかなる場所においても、法の下において、人として認められる権
利を有する。
第八条 すべて人は、憲法又は法律によって与えられた基本的権利を侵害する行為に対し
、権限を有する国内裁判所による効果的な救済を受ける権利を有する。
第十三条 1   すべて人は、各国の境界内において自由に移転及び居住する権利を有す
る。
しかし、日本で起こった福島第一原発事故によって被災した住民は、放射線被ばくを含
むさまざまな恐怖の状況下に置かれ、平和のうちに生存する権利を奪われています。また
、避難している住民も、安全に平和に生活してゆくための、賠償・補償を受けるどころか
、住宅を追われている状況です。「生命、自由及び身体の安全に対する権利」が侵され
、「救済を受ける権利」を脅かされ、「自由に移転及び居住する権利」が奪われているの
です。ICRPの使用してきた概念にのっとった基準を、住民に適用することは、憲法違
反であり、世界人権宣言に反した基準を住民に適用するということです。ICRP2007年
勧告における緊急時の勧告、さらには改訂草案は住民に被ばくをさせることを前提として
おり、これはもう放射線防護基準ではありません。
放射線影響史が専門の中川保雄は『増補 放射線被曝の歴史:アメリカ原爆開発から福
島原発事故まで』(明石書店、2011年)の中で「ICRPとはヒバクは人民に押しつけ、経済
的・政治的利益は原子力産業と支配層にもたらす国際委員会である」と述べているように
、公衆の利益のためのチャリティ団体どころか、原発事故が起ころうとも、一般公衆を年
間10ミリシーベルトの基準に永続的に押し込み、原発を推進するための基準を提供する団
体、といえるのではないでしょうか。
2018年3月19日、人権理事会にて、二人の子どもを連れての避難者である森松明
希子氏は「わたしたちには、情報は知らされず、無用な被ばくを重ねました。空気、水、
土壌がひどく汚染される中、わたしは、汚染した水を飲むしかなく、赤ん坊に母乳を与え
てしまいました。放射能から逃れ、健康を享受することは基本的原則です。日本の憲法は
「全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から逃れ平和のうちに生存する権利」と書かれてい
ます。しかし、日本政府は、日本政府は市民をまもるための施策は、ほとんど実施してき
ませんでした。その上、日本政府は放射線量の高い地域への帰還政策にばかり力を注いて
います(グリンピース訳)」と述べ、日本政府に対して国連人権理事会の勧告を、「直ち
に、完全に受け入れ、実施」することを求めています。こうした避難者の声こそ、重視し
なければいけません。
私たちは人間の生命・健康を護るという人権の立場から考えると緊急時だからと言う理
由でより多くの被ばくを許容できるとすることはできないと考えます。生命・健康に危険
が及ぶのであれば、その場に留まっていたり、まして居住したりすることはできません。
できる限り速やかに避難すべきであり、新たな基準を設けて滞在を認めることは人権に反
することです。避難の権利を認め、経済的にも避難者の生活を保障すべきです。もし仮に
避難が社会的に保障できないならば避難を必要とする原発等の核施設の存在を許してはな
りません。私たちは、ICRPに現行の年間1ミリシーベルトの被ばく限度を守ることを
求めます。さらに個人の感受性の違いや子ども・妊婦等の被ばく弱者への配慮および、多
大な影響が予測される内部被曝を重視することを求めます。
関連記事

コメント

コメントの投稿

コメント

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://sandori2014.blog.fc2.com/tb.php/2254-d8c6eae7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Appendix

Recent Comments

Recent Trackbacks

Profile

サンドリ2014

Extra

振込先

ゆうちょ銀行  
記号 14170 番号 58568201 加入者名  東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream (ヒガシニホンダイシンサイヒナンシャノカイサンクスアンドドリーム)

カレンダー

プルダウン 降順 昇順 年別

07月 | 2020年08月 | 09月
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -


アクセス数

まとめプラグイン

07 | 2020/08 [GO]| 09
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

カテゴリ一覧 最新記事一覧 コメント一覧 トラックバック一覧
[カテゴリ一覧]
WEBコンサルティングのバンブーウエイブ

検索フォーム