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小泉環境大臣に直接訴える森松明希子さん・東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream(サンドリ)代表 「命と健康、その命を育む環境を守ってください」と訴える

第45回全国公害被害者総行動デーで小泉環境大臣に公害被害を訴える!
〜原発事故被害者の訴え 森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)の環境大臣との面会を
ご取材くださった青木美希記者がSNSで写真入りでアップしてくださいました!

※写真は、開始2分前に入室された小泉大臣が、自ら、全国から各地で起きた公害被害者の元に歩み寄り、
名刺交換をしてくださったときのシーンです。
東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream(サンドリ)代表でもある森松明希子さんは、
『母子避難、心の軌跡』『レッドキモノ』『3.11避難者の声』の3冊の避難者手記を手渡しました。
受け取ってくださったので、熟読して、原発事故被害者・避難者の声を受け止めて環境行政に
生かしてほしいと思います。

20200827公害_小泉大臣_青木美希記者SNSより

https://twitter.com/aokiaoki1111/status/1300045675015544833
青木美希記者のご許可を得て掲載させていただいています。

2020(令和2)年8月27日(木)
11:00〜@東京霞が関・環境省第1会議室

公害被害の訴え〜原発事故被害者の訴え〜
原発賠償関西訴訟原告団代表 森松明希子



小泉環境大臣へ 【東京電力福島第一原発被害の訴え】
         
原発賠償関西訴訟原告団代表の森松明希子と申します。
発言の機会をいただきまして感謝申し上げます。

2011年5月、東京電力福島第一原発の爆発から2ヶ月後に、福島県郡山市から大阪に2人の子どもたちを連れて国内避難を続けています。いわゆる母子避難です。原子力災害当時0歳と3歳だった私の子どもたちは、9年間、家族バラバラで、4人家族がひとつ屋根の下で暮らすという「ふつうの暮らし」を奪われてきました。

私たちが避難を続けているのは、福島原発事故による放射能汚染が「ある」からです。
原発事故の被害の本質は、放射性物質による核被害、つまり「被ばく」の問題です。
国策で推し進めた原発事故によって無差別に放射性物質がばらまかれ、環境を汚染しました。

事故直後、私たち一般市民には、正確な情報は知らされず、私たちは無用な被ばくを重ねました。空気、水、土壌が著しく汚染される中、私たちは放射性物質が検出された水を飲むしかなく、私は生後5ヶ月の我が子にも母乳を与えてしまいました。
私たちは一体どれだけ初期被ばくさせられたかも分からない上に、もうこれ以上、1ミリシーベルトたりとも無用な被ばくを重ねたくはないのです。

大臣は、避難したくても出来ない人々の声を聞いたことがありますか?
(息子が通う幼稚園の先生は、「親が避難しなければ子どもは避難出来ないから。私はここにいて守らなければならない子どもたちを守るから、あなただけは、母子避難で大変でも、大阪で子どもたちを守ってね」と背中を押してもらいました。)
原発は国策なのに、被ばくから平等に身を守る制度は9年経っても何ひとつありません。

これから先、将来のある子どもたちに、健康被害のリスクを少しでも低減させたいと思うことは親として当然の願いであり、子どもの健やかな成長を願わない親は一人としていないと思うのです。そこには、一点の曇りもなく、放射線被ばくの恐怖を感じることがあってはならず、放射線被ばくによって健康被害のリスクを高めることがあってはなりません。
(将来の発病を危惧しながらの生活を強いられる事があってはならないと思うのです。)

放射線被ばくから免れ健康を享受する権利は、世界に通じる普遍的な権利です。
(命と健康に関するこの基本的人権の侵害が間断なく続いていることが被害であると私は思います。)

この国が、人々に無用な被ばくを強いる立場に立つのか、それとも、その反対の立場に立つのか、世界中の人々が注目していると思います。

汚染水の海洋放出や除染で大量に出た汚染土の再利用に関しても「被ばくの問題」として慎重にご検討をお願い申し上げます。

大臣、どうか、人々の命と健康を、そしてその生命を育む環境を次世代の人々に手渡せるよう、全力で守ってください。

私からは、以上です。ありがとうございます。

※(  )は事前提出、当日時間の関係上、省略。

【動画】第45回全国公害被害者総行動デーで小泉環境大臣に公害被害を訴える!〜原発事故被害者の訴え 森松明希子(原発賠償関西訴訟原告団代表)

【小泉環境大臣への訴え】放射能汚染があるからです

【3.11避難者の声】世界中の全ての皆さまへ

小泉環境大臣に直接公害被害者として被害の本質を訴えることが出来ました。
このような貴重な機会を設けてくださったすべての皆様に感謝申し上げます。
原発賠償関西訴訟原告の仲間が小泉環境大臣への訴えの動画に
日本語字幕をつけて編集してくれました!

https://youtu.be/OphaqIUbz_0



大切な部分は色付きで強調してくれています!
何も言わなくても、大切だ!と思って強調してくれたところが同じだった原告のみなさんとともに、
この原稿を作り上げました。

関西訴訟団が半年以上時間をかけて、被害の本質を訴えるために、
会議を重ね、そして日本の公害の歴史を作り上げ、
公害被害の根絶のために全身全霊を尽くして声を上げ続けてくださった公害被害者の45年の歴史的舞台で、
ぜひ原発事故の本質を訴えたいと手を挙げ、声を上げ続けてこの日が実現しました。

原発事故は、史上最大で最悪の公害です。
9年前の東電福島原子力惨禍が起きた当時の環境大臣もそう表現しました。
紛れもなく原発事故は人災であり、公害であり、被害の根絶は、
私たちの世代で実現しなければならない課題だと思います。

汚染水の海上放出と汚染土の再利用について、考え直すよう訴えた一文は、
事前に提出した「被害の訴え」には書かれていませんでしたが、
私個人や原発事故の直接的被害者だけでなく、
全人類に関わる被害につながることと判断し、
当日自分の判断と責任において、発言に加えました。

国連でスピーチをしても、環境大臣の前でスピーチしても、失われたものは取り戻せません。
しかし、私は手放してはいけない権利が何か、見えているので、
主権者の自覚と責任をこれからも果たしたいと思います。

どうぞ、出来るだけ全世界の人々に、福島原子力惨禍の被害の実相が伝わり、
同じ過ちを人類が繰り返さないために、地球の環境を守り、
次世代が健やかに生きる環境を手渡すために、
多言語化翻訳のご支援、ご協力をお願い申し上げます。

動画、写真は、どうぞご自由にお使いください。

出来るだけ、多くの人々にお伝え下さい。

いつも、福島原発事故被害者に寄り添い、ともに歩んでくださり、感謝です。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

原発賠償関西訴訟原告団代表 森松明希子





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2020年8月22日(土)13時~ 原発賠償関西訴訟のKANSAIサポーターズ主催 訴訟学習会のご案内 テーマ「内部被ばくと避難の相当性」@zoom

20200822訴訟学習会@内部被ばく_スクリーンショット 2020-08-21.png

原発賠償関西訴訟のofficial応援団・KANSAIサポーターズからの訴訟学習会のお知らせです!
この機会に、ぜひ、原発賠償関西訴訟の応援をよろしくお願い申し上げますm(_ _)m

………… 訴訟学習会のご案内…………

KANSAIサポーターズでは、毎月第3土曜日に訴訟学習会を開催しています。

2月以降コロナの影響により開催できませんでしたが、今月はZoomを使って急遽再開が決まりましたのでお知らせします。

7月30日の裁判期日で原告側から提出した準備書面で、内部被曝について主張しました。今回はその内容について、弁護団の中島宏治先生に解説していただきます。

■今回のテーマ■
原告準備書面69「内部被ばくと避難の相当性」について
講師:中島宏治 弁護士

■日時■
2020年8月22日(土)
13:00~13:45 訴訟学習会
13:45~14:45 サポーター事務局会議
14:45~15:30 原弁支情報共有
※学習会だけのご参加も歓迎です。

■Zoom参加ご希望の方■
kansaisapo@gmail.com
上記アドレス宛に、件名:◆8月22日訴訟学習会参加希望◆
メールアドレス、氏名をご記入の上、お申込みください。
折り返し、ZoomミーティングID,パスワードをお知らせします。


2020年8月18日(火)3.11避難者情報交換・意見交流会Cafe IMONIKAI@大阪市立社会福祉センターのご案内

はじめましてサンドリです.jpg

毎月大阪で、たとえ参加者が少なくても、
必要としている避難者がいる限り、
細く長く必要な形でつづけています。
2012年夏~毎月1回、一日お部屋を開放し、
自由に避難者が集える「場」を参加者みんなで作ります。

過去の交流会の様子はコチラ

サンドリメンバーも、
毎回、一度も欠かさず通っている避難者たちがいます。

とても自由な雰囲気で、
避難者が震災のこと、避難のこと・・・
本当の思いを各々自由に話せる
3.11避難当事者がホッとできる素敵な「場所」です。

初めての方も安心してご参加下さい。
何も話さなくても、聞くだけの方もおられます。

色々な情報も得られますし、また、避難者の思いも、
ご支援の方々に伝えることも出来ますし、
本当にオススメ出来る交流会の一つです。
ご都合のつく方は是非ご参加ください。



【避難者交流会Cafe IMONIKAIのご案内】

日 時:2020年8月18日(火) 

    10:30~15:00頃



    (途中からの参加、途中退室も可能です)
    ※飲み物は各自でご用意ください。
     お昼をまたぐ方は、昼食も各自でご用意ください。


場 所:大阪市立社会福祉センター
    (地下鉄「谷町九丁目」駅、近鉄「大阪上本町」駅11番出口)

参加費:無 料
    差し入れ大歓迎♪

参加対象者:3.11避難者&3.11避難者に心をお寄せくださる方ならどなたでも大歓迎☆

お申込み: 特に不要です。


《ご参加の際の注意点とお願い》
(1)当日はご自宅で検温の上、風邪の症状(37.5度以上の発熱、喉の痛み、咳、強い倦怠感)や味覚嗅覚障害などがあれば、参加をお控えください。
(2)入室する際には事前の手洗いや消毒をお願い致します(入口に消毒用のジェルを置いておきますのでお使いください)。
(3)マスク着用をお願い申し上げます。
(4)発声等による飛沫感染防止のため、座席の配置はできるだけ間隔を空けるようにお願い致します。
(5)万が一、感染者が発生した場合に備えて、リストに参加者の皆さまのお名前、及びご連絡先(メールアドレス、お電話番号)をご記入いただきます。
(6)皆さまからの差し入れは本当にありがたく、お心遣いにいつも感謝しております。ただ感染予防のため、今回は大皿での食べ物のシェアを避けたいと思います。差し入れして下さる場合は、個別包装のものをお願いできれば嬉しいです。

今後の予定: 2020年 9/16(水)、10/30(金)、11/18(水)
   


お問合せ:sandori2014@gmail.com 
     サンドリ【3.11避難者交流カフェイモニカイ】係

主 催:東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream (略称:サンドリ)


協 力:大阪市ボランティア・市民活動センター(大阪市社会福祉協議会)

2017年4月から、サンドリが主催を引き継ぐこととなりました。
カフェイモニカイは7年くらい続いていますが、
いまだに芋煮がふるまわれると思われている人々に遭遇しますが・・・
「芋煮」は出てきません(;^_^

3.11および福島原発事故避難者の「居場所」です。
タブー一切なし、何でも話して大丈夫です。
話すこと、会話することで、つながることで、
見えてくること、困りごとの解決への糸口も見つかったりするなど色々・・・

当日お目にかかれる皆さま方、応援くださる皆さま方、
どうぞよろしくお願いしますm(__)m


参加者全員が3.11避難者のために出来るボランティア参加です(^^)
主に、初めて参加の方や避難してきて間もない方へ、
先に避難してきて参考になったことなど、
避難者にとってのお役立ち情報などの提供など、
出来る範囲で背伸びせず、出来る事を担ってただけましたらと思っています。


☆3.11避難者の皆さまへ☆

何かお手伝い出来る事はないかしら?
避難してきた自分に出来ることはないかしら?
支援頂いた9年間に感謝して今度は自分にできる社会へのご恩返しはないかしら?
とお考えの避難者の皆さん、
是非、お手伝い参加のご協力、お願いいたします。

参加しながら、徐々にお手伝い参加ということも可能です。
(というより、ほぼ、参加者と変わりないような参加の形態ですので、
特別難しいことは何もありません。)

当日は、サンドリメンバーがいますので、
お気軽にお声がけください(^^)


サンドリロゴ
はじめましてサンドリです.jpg

20200730意見陳述書_第26回口頭弁論期日_森松明希子_当日読み上げ原稿 (PDF)

20200730意見陳述書_第26回口頭弁論期日_森松明希子_当日読み上げ原稿

★ 原発賠償関西訴訟原告の森松明希子 さんから: 

法廷で読み上げさせていただいた意見陳述書を再現し、寄稿させていただきたく存じます。
原発賠償関西訴訟原告団代表・東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream(サンドリ)代表

https://tinyurl.com/yxzojrny

★☆ 原発とめよう!九電本店前ひろば・テント★☆        
         ● 毎週木曜日  開設●
の青柳さんよりPDFにして記事にしていただきました! 

Date: 2020/8/6, Thu 07:14
Subject: 第3397目★原発とめよう!九電本店前ひろば★より抜粋引用

20200730関西26回期日.jpg
20200730陳述書とZOOM報告集会@第26回原発賠償関西訴訟 FBスクショ

【3.11避難者の声】「ふつうの暮らし 避難の権利 つかもう安心の未来」裁判@大阪地裁 第26回口頭弁論期日での原告意見陳述書(森松明希子)

20200730陳述書とZOOM報告集会@第26回原発賠償関西訴訟 FBスクショ

原 告 森松明希子 外239名
被 告   国   外1名
          2020〔令和2〕年7月30日
                 
    意見陳述書
           原告番号1-1 森松明希子

原告の森松明希子と申します。
発言の機会をいただきまして、心から感謝申し上げます。

東京電力福島第一原発の爆発から2ヶ月後の2011年5月、
福島県郡山市から大阪市に2人の子どもたちを連れて避難をしてきました。

震災当時0歳と3歳だった私の子どもたちは、現在は9歳と12歳、
福島県民でありながら、大阪の小学校と中学校に通っています。

子どもたちの父親である私の夫はこの9年間、たった一人で福島にとどまり、
家族の避難生活を支えながら、医師として事故前と同じ病院で働いています。

父親と子どもたちが会えるのは月にたった1度だけです。
夫は、仕事を終えた足で、金曜日の夜、郡山発の夜行バスに乗り、土曜日の朝、大阪に到着します。
子どもたちには、これまで沢山の我慢をさせてきました。
子どもたち2人が5,6歳の頃までは、日曜日の夜、父親との別れのたびに号泣し、
何度も何度も涙で枕を濡らす日々が続きました。

私たちは、放射能から子どもたちの健康を守ることと引き換えに、
この9年間、家族4人が同じ屋根の下で一緒に暮らすという「ふつうの暮らし」を奪われてきました。
9歳になった娘の年齢が、我が家の避難生活の年数と重なります。

私たちが避難を続けているのは、
福島原発事故による放射能汚染が「ある」からです。

原発事故の被害の本質は、
放射性物質による核被害、つまり「被ばく」の問題です


国策で推し進めた原発事故によって、無差別に放射性物質がばらまかれ、環境を汚染しました。

事故直後、空間線量は、原発から60km離れた福島県郡山市でも、
毎時8.26マイクロシーベルト(8.26μSv/h)が計測されました。
仮に、この線量を1年間浴び続ければ、
一般公衆の被ばく限度とされている年間1ミリシーベルトを70倍以上超えることになりますが、
この9年間で一度も福島県郡山市が強制避難区域に指定されたことはありません。

私たち一般市民には、正確な情報は知らされず、私たちは無用な被ばくを重ねました。
そして、空気、水、土壌が著しく汚染される中、
私たちは水道水から放射性物質が検出されたと報道されても、
その水を飲むしかなく、3歳の我が子にもその水を飲ませるしかありませんでした。

また、2011年5月には福島だけでなく、
茨城、千葉、東京でも
母親の母乳から放射性物質が検出されたというニュースを耳にしましたが、
私は事故直後からずっと汚染された水を飲み続け、
生後5ヶ月の我が子にも母乳を与え続けてしまいました。

何も知らされずに、外部被ばく・内部被ばくを問わず、
一体どれだけ初期被ばくをさせられたかも分からない上に、
更に重ねて、私たちはもうこれ以上、
1ミリシーベルトたりとも無用な被ばくを重ねたくはないのです。

知って被ばくすることと、何も知らされずに被ばくさせられることはまるで意味が違うと思います。

私は母子避難を開始するとき、避難したくても出来ない人の声を聞きながら、
それでも、最も直截的に被ばくから身を護るために「避難する」という決断をしました。

裁判長は、避難したくても出来ない人の声を聞いたことがありますか?
息子が通う幼稚園の先生は、
「親が避難しなければ子どもは避難出来ないから。
私はここにいて守らなければならない子どもたちを守るから、
あなただけは、たとえ母子避難でどれだけ大変でも、
大阪で子どもたちを守ってね」
と背中を押してもらいました。

また、同じ時期に第1子を出産した郡山のお母さんは、
事故から数年間は、毎年夏休みが来ると、子どもを連れて大阪に1週間ほど「保養」の情報を得て、
福島の外に自分の子を連れ出しておられました。
そのときに、
「除染なんて、ただただ、高圧洗浄器で家の壁に向けて、
水しぶきを浴びながら自分たちが被ばくしながら除染しているのだ!
こんなの東電の社長がやればいいんだ!」
と泣きながら怒っていました。

そして、こんな事も言っていました。
「1年に1度だけ、夏休みの1週間や10日ほど子どもを福島県外に出したからといって、
それで子どもを守れているなんて思ってない
私だって、本も読めばインターネットで調べたりもできる。
そうすれば、チェルノブイリ原発事故で、郡山くらいの汚染があれば、
もっと長期に、もっと頻繁に子どもたちを避難させたほうが良いことくらい分かっている。
だけど、年に1度保養に出すのが私にできる精一杯だから…」
と肩を落として泣いていた姿を私は一度も忘れたことはありません。

その翌年からは、次々と郡山の市中にも、除染作業で出た放射能汚染物を袋詰にしたいわゆるフレコンバッグが、
青や緑のビニールシートに覆われたりして各家庭の庭先や街のあちこちに増えていきました。
街中の公園にはモニタリングポストが立っていています。

よく「放射線量が下がった、下がった」と言われますが、
下がったのは、事故直後の高線量と比べて下がっただけであり、
70倍を超える空間線量ではなくなったというだけのことです。
原発事故以前の通常の放射線量まで下がったことは、この9年間で一度もありません。

むしろ、降り注いだ放射性物質は地表に降り注ぎ、染み込み、土壌は汚染されたままです。
郡山市内の土壌は、放射線管理区域の基準の10倍以上の土壌汚染を計測しています。
地表に一番近いのは、大人ではなく身長の低い子どもたちです。
そして被ばくに対して脆弱なのも、これから生きていく時間が長いのも子どもたちなのです。
原発は国策なのに、被ばくから身を守る制度は9年経っても何もありません。

他方、避難できたからといっても、
国を挙げての支援や保護の制度が何一つない中で、
原発避難者となった私たちは、差別、偏見、避難者いじめにさられます。
避難した人ととどまる人の分断ばかりが煽られ、コミュニティは崩壊し、
個人の尊厳もアイデンティティも奪われるという事態が起きるのが原発事故のもたらす被害です。

避難者いじめや誹謗中傷を避けるため、
避難していることを隠す「隠れ避難民」となってしまう人がいることは、私たち原発避難者の間ではよく知られていますが、
隠れることにより、より被害の実態が把握されなくなります。
避難者の姿は見えなくさせられ、正確な避難者数も把握されていません。

この大阪では、2017年に、大阪府の避難者数を
88名と復興庁が公表していた数字が、避難者たちの直訴で、
およそ10倍の800名近くまで上方修正されました。
ずさんな人数把握は、そのまま、原発事故被害に対して正当な賠償も保護も、
そして必要な施策も実施されないということです。

また、帰還した人々の声も世間で喧伝されている事情とは異なります。
私が知っている避難者で、帰還をした人で、
もう安全だと思うから避難元に戻ると決めた人は一人もいません。

「経済的にこれ以上2箇所に別れて暮らすことは無理だ」
「思春期の子どもたちにこれ以上父親と離れ離れで精神的苦痛や負担を与えるのは限界だ」
というように、汚染の事実があり、合理的根拠があって避難の必要性も相当性もあるなか避難していても、
何の保護も賠償も与えられず、むしろ不条理な線引きのために、逆に、より一層の精神的・経済的苦痛を受け続けるのです。

さらに、帰還した多くの人が避難の長短を問わず、避難していた事実を隠して帰還するそうです。
子どもたちには「親の転勤で」とか「介護の都合で」などと本当の理由を隠し、
決して「避難していた」とは親が子に言わせないように口止めするのです。
軋轢や避難者いじめから身を守るためとはいえ、
避難していた子どもたちにとっては自分の人生の一部を黒塗りするようなもので、
「隠れ避難」と同様にアイデンティティの喪失につながります。

そして、皆、被ばくのリスクが高まることを承知で、
多くの人が「交通事故にあうより癌になるリスクのほうが低いから」と
自分自身に言い聞かせるように言いながら帰還していきます。
この言葉は、およそ比較するに値しないものを比べて、
ただパーセンテージの低さだけにすがって無理やり自分を納得させているようでもあり、
むしろ、被ばくによる健康被害のリスクを明確に承知の上で、帰還するより他に選択ができない苦境を如実に表している言葉なのではないでしょうか。

まさに、原発事故被害者は「避難しても地獄、とどまっても地獄」のような9年間であり、
放射能汚染という客観的事実がある限り、被害は今も間断なく続いているのです。

責任を追求される側が勝手に引いた線引によって、
差別・偏見・分断が助長されることもまた、原発事故が引き起こす被害だと言えます。

私は、目には見えない放射能被害がますます見えなくさせられ、
なかったことにされることは間違っていると思います。


これから先、将来のある子どもたちに、
健康被害のリスクを少しでも低減させたいと思うことは親として当然の願いであり、
子どもの健やかな成長を願わない親は一人としていないと思うのです。
そこには、一点の曇りもなく、放射線被ばくの恐怖を感じることがあってはならず、
放射線被ばくによって健康被害のリスクを高めることがあってはなりません。
将来の発病を危惧しながらの生活を強いられる事があってはならないと思うのです。

無用な被ばくから免れ健康を享受する権利は基本的人権です。
9年間、間断なく、無用な被ばくから免れ健康を享受する権利が侵害され続けていると私は思います。

今、2人の子どもたちは父親と別れるとき、泣きません。
なぜ避難しているか、もう十分に理解しているからです。

中学生になった息子は野球部に、小学校高学年になった娘はサッカー部に所属しています。
私は避難先の大阪で、2人が選ぶクラブ活動について、何の心配もなく2人の選択を尊重し、
子どもたちを応援することができます。福島に帰っていたら、おそらく、クラブ活動に至るまで、
生活の細部に渡り、子どもたちを被ばくから遠ざけるため、あれこれ注意を払って、
子どもたちの意思を尊重することも出来なかったと思います。

この裁判を通して、私はこの国の司法が
人々に無用な被ばくを強いる立場に立つのか、
それとも、その反対の立場に立つのか、

最後まで見届けたいと思います。

裁判長、そして裁判官の皆さん、
人の命や健康よりも大切にされなければならないものはあるのでしょうか?
私は、放射線被ばくから免れ、
自らの命と健康を守る行為が原則であると考えます。

                                                 以上

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

お支えくださる全てのみなさまへ

沢山の皆様に支えられて、無事、コロナ禍の中での
原発賠償関西訴訟第26回口頭弁論期日を終えることが出来ました。本当にありがとうございます。

厳しい人数制限の中での公開法廷、
ウィルス感染の危険をおかしても大阪地裁まで駆けつけてくださった皆さま、
抽選漏れで法廷に入れなかったみなさまのために、
細心の注意を払い、こちらも人数制限のなか模擬法廷をご準備くださった弁護団・サポーターの皆さま、
そして、模擬法廷・報告会をリモート配信できるよう、
あらゆるご準備にご尽力くださった皆さま、
それを告知してくださった皆さま、
リモート参加してくださった皆さま、
お支えくださった全ての皆さまに、
心より感謝申し上げます。

新型コロナウィルス感染症の拡大真っ最中のなか、
できることを諦めないでご一緒に歩んでくださったすべての皆様に心から敬意と感謝と御礼を申し上げます。
法廷で読み上げさせていただいた意見陳述書を再現・公開いたします。

意見陳述書はどうぞ、ご自由に転載・転用してくださって大丈夫です。

東電福島原子力惨禍の被害の実相が一つでも正確に世の中に伝わるよう、
これからも、言論を止めず、被害の実相と被害の本質からブレずに訴えを続けて参りたいと思います。

コロナ禍の中で、大切な「ふつうの暮らし」を守ることと
私たちが手放してはいけない「権利」は何かが、
よりクリアになっていると思います。
また、次代が確実に成長し、私たち大人の背中をしっかりと見てくれいていること、
多くの皆さまとともに訴え続けてきた9年の成果だと確信できる口頭弁論期日でした。
本当に、日々のお支え、ありがとうございます。
引き続き、どうぞご一緒に歩んでください。

原発賠償関西訴訟原告団代表 森松明希子


【3.11避難者の声】
「ふつうの暮らし 避難の権利 つかもう安心の未来」裁判@大阪地裁
 第9回口頭弁論期日での原告意見陳述書(森松明希子)
  http://sandori2014.blog.fc2.com/blog-entry-1067.html


「ふつうの暮らし 避難の権利 つかもう安心の未来」裁判@大阪地裁 
 第1回口頭弁論期日における原告の意見陳述
  http://sandori2014.blog.fc2.com/blog-entry-168.html

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東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream(サンドリ)とは、
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