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【3.11避難者の声】ICRP「大規模な原子力事故が発生した場合の人々と環境の放射線防護」のパブコメに投稿された福島原発避難者の意見(Satoko Tanaka)

20190915SATOKO TANAKAパブコメ.png
http://www.icrp.org/consultation_viewitem.asp?guid=%7B98DDE681-6AAD-44CA-B064-F18F87DC83D6%7D


【3.11避難者の声】ICRP「大規模な原子力事故が発生した場合の人々と環境の放射線防護」のパブコメに投稿された福島原発避難者の意見(田中里子)

ICRP勧告案にコメントする機会をいただき、感謝します。世界最悪レベルと言われる福島第一原発事故からの避難者の一人として、考えを述べたいと思います。
8年前まで日本の原発で大事故が起きるなどとは想像していませんでした。しかし、それは実際に起こったのです。
私が住んでいたのは福島の事故現場から220kmほど離れた東京都でしたが、近所の土壌からは48,000ベクレルという放射線管理区域に相当するの汚染が検出されました。
この事実と私が妊娠6か月だったという状況から、家族で西日本に避難することを決めました。
これまでにたくさんの避難者の方々と会う機会がありましたが、かなりの方が事故後、実際に健康被害に苦しんできたことを知りました。
それは大量の鼻血、皮膚疾患、そして免疫系、呼吸器系、造血器系、循環器系の疾患など様々です。
多くの方が転居後に回復しており、結局、解決方法として避難するほかなかったわけです。
こうしたことから、私は放射能から身を守る最も効果的、且つ唯一の方法は汚染から離れるということだと再確認しました。
世界的に広く認められ、またICRPも採用していることですが、放射能の人体への危険性は線量に比例して高くなり、これくらいなら絶対に安全だという量はないのです。
にもかかわらず、何故、ICRPはこんなにも早い時期に、汚染されたエリアで起こった健康被害(福島での小児性甲状腺がんのケースも含め)の原因から放射能を除外しようとするのでしょうか?
(勧告案の41、及びB42をご覧ください)
ICRPはもっと慎重に低線量被ばくを注視し、福島県での小児性甲状腺がんについては被曝の影響が否定出来ない限り、日本政府に検査を継続していくように助言するべきではないでしょうか?
なお、勧告案に書かれている事故後の緊急時と回復時の「参考レベル」については、暫定的な目標レベルのようなものであり、一般市民が受け入れるには高すぎると考えます。
必要なのは参考レベルではなく、制限値です。ICRPは年間の公衆被曝限度を1msv以下と明確に設定するべきです。
どうかICRPにはこの勧告案を人道上の問題として再検討していただきたいのです。
この案では、ひとたびチェルノブイリや福島のような大惨事が起きても、人間は人工放射能を共存して生きていける、と私たちを誘導しているかのように思えてきます。
それは被曝の危険性の矮小化に他ならない、許されないことだと思います。
私達、そして何よりも子どもの命や健康を守る。このことは他の何よりも優先されるべきです。

(英語)
Submitted by Satoko Tanaka,
Thanks & Dream : Association of the Fukushima Nuclear Disaster Evacuees
Commenting as an individual


Thank you for giving us chances to comment on ICRP publications.

I would like to offer my opinion as one of evacuees from the world's worst nuclear disaster in Fukushima.

Until 8 years ago, I had never imagined that huge accidents occurred in nuclear power plants in Japan,but they actually did.

The place I lived was Tokyo,about 220km away from the accident cites,but the soil there was contaminated about 48,000bq/m2,equal to the Radiation Controlled Area.

Our family decided to evacuate to the west by this fact and the situation that I was 6 months pregnant.

I have met many evacuees so far,and knew that not a few of them have actually suffered from health damages after the accident, such as massive nosebleed,skin affections,problems of immune system,respiratory system,hemopoietic system,circulatory system.

All they could do was to move away from their hometown,as many of them could recover after the relocation.

Certainly,I reaffirm that the only and the best way to protect ourselves is to stay away from the radiation by any means.

As world-widely acknowledged,and accepted by ICRP,radiation risk for our health increase in proportion to the radiation dose,and there is no level without risk.

Despite this theory,why does ICRP intend to eliminate so early the RADIATION from presumable causes for health damages in contaminated areas,like childhood thyroid cancer case in Fukushima? (See 41 and B42 in your draft)

ICRP should watch the risk of low-dose-radiation-exposure more deliberately,and encourage Japanese government to continue the examination in Fukushima as long as the radiation risk can not be denied.

I also feel afraid that “reference level”in emergency or recovery period after nuclear accidents is just a provisional target value and too high for public to accept.

What's required must be not such a reference level,but a limit level. ICRP should specify the annual exposure limit level of 1 mSv or less.

Therefore, I would like to ask ICRP strongly to review the publication as humanitarian issues.Your recommendation is likely to lead us to think that we can live along with artificial radioactivity,even if large accidents like Chernobyl and Fukushima happen. It is the same with downplaying the radiation risk,and definitely unforgivable.

To protect lives and health for us and our children must be prioritized over any others.

20190913ICRPに意見を送ろう!.png

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【3.11避難者の声】ICRP「大規模な原子力事故が発生した場合の人々と環境の放射線防護」のパブコメに投稿された福島原発避難者の意見(森松明希子)

20190914ICRPパブコメ森松明希子.png
http://www.icrp.org/consultation_viewitem.asp?guid=%7BFD818B58-07EB-4A46-AE55-D5C6A4EFB0CB%7D


【3.11避難者の声】ICRP「大規模な原子力事故が発生した場合の人々と環境の放射線防護」のパブコメに投稿された福島原発避難者の意見(森松明希子)

1.全世界の皆様のご支援に、この場をお借りして、感謝を申し上げます。
2011年3月11日に東日本大震災およびそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により東日本は壊滅的なダメージを受けました。発災直後から全世界の人々が私たち日本にいる人々の無事を祈り、必要な支援の手を差し伸べて下さり、物心両面でお支え下さいました事を、心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
2.一方で、我が国は、原子力発電所の事故を未だに収束させる事ができず、世界につながる海、空気、そして陸地を汚染し続けています。
 東電福島第一原発事故はコントロールされておらず、この事を全世界の人々に陳謝しなければならないと私は思っています。汚染水は漏れ続け、8年が経過した現在もなお、海洋を汚染し続けているという現実に、誰一人国民は「アンダー・コントロール」などとは思っておりませんが、きちんと世界に向かって謝罪をしていません。大変お恥ずかしいことです。この場をお借りして、謝ります。全世界の皆様、美しい地球を汚し続けて本当にごめんなさい。
3.多くの日本に住む人々が汚染地から放射線を避けて避難を続けている現状があります。政府(復興庁)に登録した避難者は2012年6月に約347,000人に達しました。
8年半が経過した現在でも(2019年8月30日)、わかっているだけでも避難者は約5万人います。しかし実際の避難者数は日本政府はもちろん、誰も把握していません。
また,避難を希望していても政府からの支援がないため,避難できない人々が多数存在しています。
特に放射線に対して脆弱な子供を守るための避難者があり、私たちもその中の1家族です。私には2人の子どもがいます。震災当時、ゼロ歳(5ヶ月)の赤ん坊と3歳の幼児でした。この8年間、私の夫(子どもたちの父親)は福島に、私と子どもたちは大阪に、2カ所に離ればなれに住んでいます。このように子どもを守る為の母子だけの避難者が現在も多数存在します。日本では「母子避難」と呼ばれています。
4.私たちは東電福島第一原子力発電所から漏れ出た放射能汚染から身を守る必要があります。そして、「避難すること」は被曝から免れ健康を享受するための人として当然の命を守る為の行為です。
私たちのような人々は、国連の 「国内強制移動に関する指導原則」における「国内避難民」に該当すると考えます。
同原則の原則4 第2項 には、「児童、妊娠中の母親、幼い児童を持つ母親、女性世帯主、障がいのある者および高齢者等一部の国内避難民は、自らの状態が必要とする保護および援助ならびに自らの特別の必要を考慮した待遇を受ける権利を有する。」とあります。
しかし、日本の政府が同原則を積極的に具体的施策の実施のなかに取り入れ、原子力災害による国内避難民に対して適切な対処をしているとはおよそいえない現状が続いています。
5.また、日本政府は、国連特別報告者アナンド・グローバー氏の日本政府への勧告(2013年)に対しては正式に反論し,受け入れを拒否しています。
6.人類史上、旧ソ連でチェルノブイリ原子力発電所の事故を人類は経験し、チェルノブイリのお母さんたちが声を上げ、数々の証言を残してくれました。
日本政府は,チェルノブイリ原発事故における被害者の社会的保護を教訓にしていません。その教訓を、何ら活かすことなく、福島をはじめ、日本の汚染された地域に住む子どもを含む人々は、今なお、無用の被曝を強いられています。すなわち、人の命や健康に直接関わる権利が3.11の震災以降、日本政府によって侵害され続けているのです。
もし、ICRPがさらに放射線防護の基準を緩和し、年間1mSvの被ばく限度の数値までもを明示しなくなったとしたら、それは、ICRPの被ばく防護の権威と信用は失われます。
それどころか、被ばく防護を提唱するはずのICRPが、むしろ人々に被ばくを強要する人権侵害の大罪を犯すことになります。

7.私は、命や健康、そして日本に暮らす子どもたちの未来を守りたいのです。
放射能汚染地域から避難の権利、もしくは定期的な保養の権利を保障しなければ、日本が批准している「子どもの権利条約」第24条の「到達可能な最高水準の健康を享受する」権利も護ることができません。
ICRPは、被ばくに脆弱な子どもを特に守る厳しい基準を示して下さい。
被ばく防護と関係のない社会的事情、経済的負担を考慮するのではなく、被ばくに対してより脆弱な子ども、女性をより保護すべき厳格な基準を提示して下さい。
8.日本国憲法の前文には、「 全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」(平和的生存権)という規定があります。
9.放射線被曝の恐怖から免れ、平和のうちに生存する権利は、誰にでも等しく与えられるべきです。広島・長崎、そして福島を経験し、私たち日本人はもうこれ以上誰ひとりとして「ヒバクシャ」をつくり出してはいけないと気づくべきです。
10.放射線被曝から免れ健康を享受するということは、命を守るための原則的行為です。人の命や健康に直接関わる権利であり、最も大切で、普遍的な基本的人権だと思うのです。人の命よりも大切にされなければならないものはありますか?
ICRPが被ばく防護の基準を緩和させることによって、さらに無用な被ばくを人々に強いることになります。
ICRPの改定草案は、人々に無用な被ばくを強いる改悪にほかなりません。

11.全世界の皆さん、原子力災害の全ての被害者と避難者をどうか助けてください。
日本政府に対し,国際法を遵守し、国連の指導原則や勧告を尊重するように働きかけてください。
世界の皆さん、どうか助けて下さい。福島と東日本の人々、特に子どもたちを被曝から守ってください。
東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream
代表 森松明希子
AKIKO MORIMATSU
福島核惨事による国内避難民
Internally displaced people due to Fukushima nuclear disaster

(英語)
Submitted by AKIKO MORIMATSU,
Thanks & Dream: Association of the Fukushima Nuclear Disaster Evacuees
Commenting as an individual


1. I would like to express my personal gratitude for the worldwide support given to us on this occasion. East Japan suffered catastrophic damage by the Great East Japan Earthquake and the consequent accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant owned by Tokyo Electric Company on March 11, 2011. Immediately after the disasters occurred, people all over the world sent kind messages as well as necessary commodities for survival, thus helping us both mentally and materially. I thank you all sincerely for the kindness.
2. However, the Japanese government has never been able to put the nuclear power plants under control since the 3.11 accident. The plants have contaminated the ocean, the air, and lands which are, without boundaries, connected throughout the world. The TEPCO's Fukushima Daiichi nuclear power plant accident has never been put under control and I personally think we must apologize for this fact to the people of the world. The contaminated water has kept leaking and polluting the ocean for eight years and no Japanese citizens think Fukushima is under control. It is a shame that we have not apologized to the world for the fact. I, therefore, would like to apologize personally now to all the people in the world on this occasion. I am very sorry that Japan has kept contaminating the beautiful earth.
3. Now in Japan, many people have evacuated from the contaminated areas to avoid radiation exposure. The number of registered evacuees in June 2012 reached 347,000 according to the government's Reconstruction Agency. Even after 8 and a half years have passed (August 30, 2019), there are as many as about 50,000 evacuees that have officially been recognized. who know only. However, nobody knows the actual number of evacuees, let alone the Japanese government. Moreover, many people have stayed in the contaminated areas due to the lack of the government's financial support. Most evacuees are families with little children who are vulnerable to radiation. My own case is one of them. Our two children were a three-year-old infant and a five-month-old baby at the time of the disaster. Since the nuclear accident, my husband who is the father of the children, has stayed in Fukushima but our children and I fled to Osaka. We are dislocated and forced to live in two separate locations. Such dislocation to protect children is called, boshi hinan, or "mother and child(ren) evacuees" and there are still many of us.
4. We need to protect ourselves from the radiation contamination which has leaked from TEPCO's Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant. Evacuation is a natural human act to flee from radiation and to enjoy healthy living. I regard the nuclear evacuees like ourselves as people of "Internal Displacement" referred to in the Guiding Principle on Internal Displacement in the 1998 UN Human Right Commission Report. The second article of the above principle states: "Certain internally displaced persons, such as children, especially unaccompanied minors, expectant mothers, mothers with young children, female heads of household, persons with disabilities and elderly persons, shall be entitled to protection and assistance required by their condition and to treatment which takes into account their special needs." The Japanese government, however, has not put this principle into action nor its policies for the internally displaced people due to the nuclear accidents. The Japanese government has not learned the lessons of the social protection of victims from the Chernobyl nuclear accident.
5. Moreover, the Japanese government has objected and rejected the UN Special Rapporteur Anand Grover's advice given in 2013.
6. In other words, rights pertaining to human life and health have been continuously violated by the Japanese government since 3.11. Human beings have had the historical experience of the nuclear accident in Chernobyl in the former Soviet Union and have had many witnesses from Chernobyl mothers. The Japanese government, however, has not learned the lessons from "the social protection of victims" in the Chernobyl nuclear accident. By the government ignoring the lessons, many people in Fukushima and other contaminated areas in Japan are still forced to have unnecessary radiation exposure today. If ICRP further relaxes radiation protection standards and no longer specifies the annual exposure limit of 1 mSv, it will lose the its authority and people’s trust of ICRP as an exposure protection agency. On the contrary, ICRP, which is supposed to advocate exposure protection, rather commits a crime of human rights violations that force people to be exposed.
7. I would like to protect life, health, and the future of the children living in Japan. Without evacuating from nuclear contaminated areas or ensured regular recuperation opportunities, we cannot follow the 24th article of the Convention of the Rights of the Child, which Japan has ratified, ensuring "the right to enjoy the highest level of health reachable." We need help from the world community. The ICRP should indicate strict standards to protect children who are especially vulnerable to exposure. Please present strict standards to protect children and women who are more vulnerable to exposure radiation, rather than considering social circumstances and economic burdens that are not related to exposure protection.
8. The Preamble of the Japanese Constitution declares "the right to live free from fear and deprivation and to live in peace" (the right to a peaceful life).
9. The right to live free from the fear of radiation exposure and to live in peace should be given equally to all people. We cannot make any more "hibakushas" if we have learned the lessons from Hiroshima, Nagasaki and Fukushima.
10. To be free from radiation exposure and to enjoy health is a basic human reaction to protect life. It is a human right directly concerning to human life and health. It is the most important and universal human right. Can you think of anything else which is more precious than human life? ICRP will increase people's exposure to unnecessary exposure by relaxing exposure protection standards. The revised ICRP is nothing less than an evil that forces people to be exposed to unnecessary exposure.
11. We need help from the world community to help all the victims and evacuees of nuclear accident disasters. Please take action and tell the Japanese government to act in compliance with international laws, and respect the guiding principles and recommendations of the United Nations. Please help us protect the people, especially the children, in Fukushima and East Japan from radiation exposure.


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原発事故の対応を左右する新勧告案
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ICRP(国際放射線防護委員会)はチェルノブイリ原発事故と福島原発事故をふまえて、
新勧告(案)をまとめました。
2007 年勧告では、年間被ばく線量の放射線防護の目安は、
緊急時「20〜100 ミリシーベルト」、
回復期「1〜20 ミリシーベルト」とされていました が、
今回の新勧告(案)では
それぞれ「100 ミリシーベルト以下」と「10 ミリシーベルト 以下」、
「長期的には年 1 ミリシーベルト程度をめざす」と改訂。

年間1ミリシーベルトの 「線量限度」をも超える被ばくを
許容できるようにしています。

福島原発事故対応や避難・ 帰還政策についても
多くの問題があります。

放射線防護や被ばくのリスクより、
震災関連 死・避難・帰還の問題など、
社会的影響を重視すべきとの趣旨になっています。

今回は市民団体の運動により、
日本語での意見も受け付けられることになりました。

締め切りは9月 20 日ですが、
特例で日本語の意見は 10 月 25 日まで募集しています
(日本語の意見の取り扱いは確認中)。

日本政府の政策に影響を及ぼす新勧告(案) に対して、
いま声をあげることが重要です!

市民団体による日本語仮訳サイト(市民科学研究室より)

https://www.shiminkagaku.org/icrp_japanesetranslation_20190906/


原子力資料情報室、国際環境 NGO グリーンピース・ジャパン、高木学校、 市民科学研究室、放射線被ばくを学習する会、ひなん生活をまもる会、 東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream(サンドリ)
連絡先:anti-hibaku@ab.auone-net.jp

ICRP勧告改訂の草案に対する意見-被ばくから住民を護る基準に!(共同パブコメ)にサンドリも団体賛同しました!

20190901ICRP改定案に対する共同パブコメ1.png
20190901ICRP改定案に対する共同パブコメ2−3.png
20190901ICRP改定案に対する共同パブコメ4−5.png

ICRP勧告改訂の草案に対する意見-被ばくから住民を護る基準に!
       住民を被ばくから護る基準を求める市民と科学者 

(連絡先:山田耕作 kosakuyamada@yahoo.co.jp)

パブリック・コメントを提出するに際して、2つの大きな疑問を述べておきたいと思い
ます。まず、第一に、パブリック・コメントを集める対象について、今回は、草案自体が
一部のみの翻訳であり、基本的に英語を理解するもののみを対象としているので、パブリ
ックと言いつつ、きわめて限定的で差別的に収集している点です。
第二に、今回も含めて草案にたずさわっている当事者は、ICRPの基準を日本に導入
することを検討する当事者もあるので、利益相反にあたるのではないか、という点です。
基準を作る側、基準を導入する側は本来立場が違うはずなのに、ICRPの基準について
は、それを取り入れるのが前提で進められているところがおかしいと思います。その一方
で、
IPPNWの勧告( https://peaceandhealthblog.com/2013/06/05/fukushima-
disaster/
https://peaceandhealthblog.com/2019/08/26/radiation-exposure/ )やアナン・ド・
グローバー氏の勧告
(https://www.ohchr.org/Documents/HRBodies/HRCouncil/RegularSession/Session23/A-
HRC-23-41-Add3_en.pdf)は、ICRPも日本政府も無視している状態です。基準を作る
側も取り入れる側も、本来多様な研究・提言の中で、よりよいものを選択する必要がある
はずなのに、予定調和がなされているのは、大変な問題だと思います。
(1)ICRP2007年勧告の問題
 現在日本政府がとっている住民帰還政策では年間20ミリシーベルトを基準にしています
が、それは国際放射線防護委員会(ICRP)が提唱するICRP2007年勧告での推奨値を参考に
決められました。
しかし、ICRP2007年勧告自体が、2011年3月の時点で、日本の法令になっていたわけで
はありません。年間20ミリシーベルトは福島第一原発事故のどさくさに紛れて取り入れら
ました。しかもICRP2007勧告はチェルノブイリの経験を踏まえ、出来るだけ避難者を少な
くすることで、政府と電力会社の賠償責任などの負担を少なくすることを狙ったものであ
るようにしか考えられません。
日本の法令に取り入れることを検討する文部科学省放射線審議会の基本部会は、2009年
3月13日(第19回)から2011年1月12日(第38回)まで、20回にわたって、ICRP2007年
勧告の国内法取り入れを検討しました。基本部会の委員としては、東京電力株式会社福島
第一原発の副所長(第25回基本部会より)や、東電環境エンジニアリング株式会社 原子
力事業部長(第19回基本部会から第24回基本部会まで)など、東京電力の関係者が常に入
っており、原子力発電を推進する側の影響下に基準が検討されていたといえます。利害関
係者が委員となっている時点で利益相反です。同部会は、2011年1月に出した第二次中間
報告において、「(3-d)緊急時における公衆被ばくに適用する参考レベルについて」
として次のように提言しています。
(基本部会の提言)
緊急時被ばく状況における公衆に対する参考レベルに関して、ICRPが提案する線
量(20~100mSv)は、緊急時における防護措置の実施の要否、防護の最適化、
および更なる防護措置の必要性を判断するための総合的な戦略に関する指標として妥当
であり、我が国においても防護活動計画の策定のためにこの指標を考慮すべきである。
また我が国でこれまでに提案された個々の防護措置(屋内退避及び避難、安定ヨウ素剤
予防服役用等)に関する基準は、個々の防護措置の実施の要否を判断するための初動値
として継続して適用可能である。
このように、文部科学省放射線審議会基本部会は、原発事故よりも前に公衆に対する参
考レベルについてのICRP2007年勧告導入について具体的に提言していました
。ICRP2007年勧告は日本の法令に反映されたわけではないのに、原発事故後、導
入されたのです。
しかし、この導入に対しては強い批判がありました。2011年4月29日、放射線審議会基
本部会のメンバーであった内閣官房参与の東京大学大学院教授は辞意表明をした際には、
学校施設の利用基準が年間20ミリシーベルトであることに対して、「この数値を乳児、幼
児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからして
も受け入れがたい」と述べました。それだけ、年間20ミリシーベルトという基準が不適切
であることを示しています。ICRP2007年勧告の導入自体が、そもそも法令違反なので
す。

(2)ICRPの歴史的問題
ICRPの公式のホームページではICRPを「放射線防護科学を公衆の利益を進める
独立した国際組織」としています。また「イングランドとウェールズの慈善団体委託に登
録された(登録番号1166304)慈善団体、とのことですが、果たして公衆の利益を
進めるチャリティー団体なのでしょうか。
歴史を振り返ると、ICRPの前身は1928年に発足したIXPRC(International X-
Ray and Radium Protection Committee:国際X線・ラジウム防護委員会)です。1950年
に初会合が開かれたICRPは、米国放射線防護委員会(NCRP)議長のL・S・テイラーが中心
となって組織されました。NCRPとは1946年に発足し、広島・長崎の原爆を開発したマンハ
ッタン計画で放射線人体影響の専門家として携わったスタッフォード・ウォレン(同計画
の医学部長)らが執行委員となっていました。またマンハッタン計画に従事した科学者た
ちが中心メンバーでした。さらにマンハッタン計画を引き継いで米国の核開発を担ったの
は米原子力委員会という連邦政府機関ですが、その生物医学部長を務めたシールズ・ウォ
レンが執行委員となりました。ICRP発足の経緯そのものからして、マンハッタン計画やそ
れを引き継ぐ米原子力委員会(AEC)の影響が大きい、米国の核戦略の強い影響力を受け
ていたといえます。
そうした組織の基準が、国際的だとして福島県内の子どもたちに適用されているのです
。しかも、公衆への基準が1990年勧告において年1ミリシーベルトとなり、この勧告につ
いては日本の法令に反映されていますが、その20倍もの基準が、しかも「緊急時」ではな
く永続的に、胎児・幼児・子どもにまで適用されたのです。
(3)ICRP勧告改訂の草案における問題
今回の草案は、ICRP2007勧告に少し手を入れたようですが、10ミリシーベルトと被ばく
を20ミリシーベルトから減少させたように見せながら、 図からは10ミリシーベルトは分
布の中央値であると理解され、それを越えてはならない被ばく限度としておらず、むしろ現
在以上の被ばくを容認する危険性を持つ提案です。被ばくによって何らの利益を得ること
がない公衆に被ばくを我慢させる案です。改正案の危険性はこの参考レベルが中央値であ
るような図2.3として出され、被ばく限度でないことです。
 また、草案の「201」に「甲状腺に対する特別の監視プログラムは可能な限り早く甲状
腺の深刻な異常を検出するのに有効である。しかしながら、そのような監視は住民の集団
レベルで便益が害を上回ることを確実にするように組織されるべきである(Togawa,
2018)。この点について、長期間の健康監視プログラムは胎児期や、小児期、あるいは青
年期において、甲状腺に100から500 mSvの吸収線量を受けた個人に限って取り組まれるべ
きである。」と述べられていますが、この記述は甲状腺調査の対象範囲を狭めるために今
回の改正草案に盛り込んだのでしょうか。行政側に都合の良い基準で調査の対象を狭める
ことを正当化する提案を作ろうとしているのではないでしょうか。私たちは甲状腺調査の
対象はむしろ広げ、また継続的包括的調査をするべきだと思います。
 今回の改訂は、事実上、「世界の住民全体」の基準になります。その改訂をICRPに
迫る衝動力は次の3点に有ります。
①今後世界的規模でチェルノブイリ・福島級事故が繰り返されることが想定されている。
②トランプアメリカ大統領等の「使える核兵器」による核戦争が想定されている。
③核兵器による攻撃が、原発あるいは核施設に対して行われる場合、両方の事態が組み合
わさって生じることが想定されている。
そのための緊急時の被ばく基準改訂であり、極めて危険なものであると言うことです。
いうまでもなく被ばくのない「使える核兵器」などないことは、広島・長崎の例が示して
います。しかし、ICRPの基準は核戦争・核被災を前提としている点で、被災者を切り
捨てることを合理化する基準だといえるのではないでしょうか。
ICRPの使用してきたALALA(As Low As Reasonably Achievable)の原則は、
社会的・経済的要因を考慮しながら「合理的に達成可能な限り低く」するという意味で使
用されていますが、そもそもどのような立場からの社会的・経済的要因か、そしてその合
理性が誰に向けられているのかが問題です。核産業を前提とした「社会的・経済的」が成
り立つ範囲での、放射線への感受性の強い人々の存在を排除した「合理性」です。つまり
は、とりわけ感受性の高い胎児・乳児・子どもたち生命・身体に影響がない程度に低くお
さえることを目的にしているわけではありません。ICRPは核産業が置かれた状況の変
化のもと、「アラーラ原則」から「正当化」「最適化」「参考レベル」、そして 「ステ
ークホルダー」および「共同専門性」と、一連の概念の創出によって、事故による放射能
汚染下での生活に被災者を慣れさせ、住民に放射能汚染下での生活を選択せざるを得ない
状況を作り出してきたのではないでしょうか。ステークホルダーといったとき、その利害
関係者とはICRPの想定する関係者であり、そこには被災から逃れている避難者が含ま
れてはいないようです。このような概念は核産業の、核産業による、核産業のための概念
であって、けっして一般公衆の、一般公衆による、一般公衆のための概念ではありません


日本国憲法前文には「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の
うちに生存する権利を有することを確認する[We recognize that all peoples
of the world have the right to live in peace, free from fear and want(日本国法
務省訳)http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail/?id=174 ]」と、平和
的生存権が謳われています。また世界人権宣言では、第3条、第6条、第8条、第13条1 
にて次のように謳われています。
第三条 すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。
第六条 すべて人は、いかなる場所においても、法の下において、人として認められる権
利を有する。
第八条 すべて人は、憲法又は法律によって与えられた基本的権利を侵害する行為に対し
、権限を有する国内裁判所による効果的な救済を受ける権利を有する。
第十三条 1   すべて人は、各国の境界内において自由に移転及び居住する権利を有す
る。
しかし、日本で起こった福島第一原発事故によって被災した住民は、放射線被ばくを含
むさまざまな恐怖の状況下に置かれ、平和のうちに生存する権利を奪われています。また
、避難している住民も、安全に平和に生活してゆくための、賠償・補償を受けるどころか
、住宅を追われている状況です。「生命、自由及び身体の安全に対する権利」が侵され
、「救済を受ける権利」を脅かされ、「自由に移転及び居住する権利」が奪われているの
です。ICRPの使用してきた概念にのっとった基準を、住民に適用することは、憲法違
反であり、世界人権宣言に反した基準を住民に適用するということです。ICRP2007年
勧告における緊急時の勧告、さらには改訂草案は住民に被ばくをさせることを前提として
おり、これはもう放射線防護基準ではありません。
放射線影響史が専門の中川保雄は『増補 放射線被曝の歴史:アメリカ原爆開発から福
島原発事故まで』(明石書店、2011年)の中で「ICRPとはヒバクは人民に押しつけ、経済
的・政治的利益は原子力産業と支配層にもたらす国際委員会である」と述べているように
、公衆の利益のためのチャリティ団体どころか、原発事故が起ころうとも、一般公衆を年
間10ミリシーベルトの基準に永続的に押し込み、原発を推進するための基準を提供する団
体、といえるのではないでしょうか。
2018年3月19日、人権理事会にて、二人の子どもを連れての避難者である森松明
希子氏は「わたしたちには、情報は知らされず、無用な被ばくを重ねました。空気、水、
土壌がひどく汚染される中、わたしは、汚染した水を飲むしかなく、赤ん坊に母乳を与え
てしまいました。放射能から逃れ、健康を享受することは基本的原則です。日本の憲法は
「全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から逃れ平和のうちに生存する権利」と書かれてい
ます。しかし、日本政府は、日本政府は市民をまもるための施策は、ほとんど実施してき
ませんでした。その上、日本政府は放射線量の高い地域への帰還政策にばかり力を注いて
います(グリンピース訳)」と述べ、日本政府に対して国連人権理事会の勧告を、「直ち
に、完全に受け入れ、実施」することを求めています。こうした避難者の声こそ、重視し
なければいけません。
私たちは人間の生命・健康を護るという人権の立場から考えると緊急時だからと言う理
由でより多くの被ばくを許容できるとすることはできないと考えます。生命・健康に危険
が及ぶのであれば、その場に留まっていたり、まして居住したりすることはできません。
できる限り速やかに避難すべきであり、新たな基準を設けて滞在を認めることは人権に反
することです。避難の権利を認め、経済的にも避難者の生活を保障すべきです。もし仮に
避難が社会的に保障できないならば避難を必要とする原発等の核施設の存在を許してはな
りません。私たちは、ICRPに現行の年間1ミリシーベルトの被ばく限度を守ることを
求めます。さらに個人の感受性の違いや子ども・妊婦等の被ばく弱者への配慮および、多
大な影響が予測される内部被曝を重視することを求めます。

ご報告 [3月20日 上映会&討論会@ロンドン大学東洋アフリカ研究所 ]




3月20日、
ロンドン大学東洋アフリカ研究所での、アニメ映画「無念」上映会と討論会が開かれました。

会場は50名くらいの入りでしょうか。
多くの質問が出ました。

これでロンドンの予定は全て終了。

21日はリヨン空港経由でグルノーブルに戻ります。

3月22日はグルノーブルのユーロポール高校でお話し会です。

国際高校なので、日本に行ったことがある子も数人いるそうで、とても期待されています。

次回はイギリスでも学校訪問をやりたいものです。






イギリス ロンドン
ロンドン大学で「無念」上映後
この8年間の経緯や想いを伝える機会を頂きました
ご参加くださった方の中には
前日の院内集会にも来てくださって方もいらして
熱心に耳を傾けてくださること
大変嬉しく そして有り難く感じました

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